within the still of Kae Touyama web

東山佳永
kae touyama

うつりゆく
within the still
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『うつりゆく』



私達は、淡々と移ろう。
光、季節、風景、空気、日々、表情、関係、形…
動かず、変化しないようにみえるものも、淡々と変化していく。
速度が違うだけだ。
日の移ろい、日々の営み、
全て動き続け循環し動いているからこそ、静を感じることができる。
光があるから影を見て、生きているからこそ死を知る。
私達は、
生と死も、静と動も、虚も実も、
重なりあって生きている。


Kae Touyama


彫刻:保井智貴
パフォーマンス/詩:東山佳永
音楽:安永哲郎
衣装:窪田健吾(Holo shirts.)

*
保井智貴の彫刻のモデルとなった東山佳永のパフォーマンスと、安永哲郎の音楽による往復書簡。
人物像が佇む空気感を3者によって時間とインスタレーションを設え変えながら共に構築していく。
プロジェクトの進行状況が会場内に蓄積された。

■詩/letter■


保井智貴個展 ー 佇む空気/silence ー
2014年9月20日(土)~2015年3月1日(日)
彫刻の森美術館 本館ギャラリー

東山滞在日▼
9月23日(火・祝)、11月8日(土)、2015年1月17日(土)、2月21日(土)
10~12時/13時〜16時
場所:本館ギャラリー 中2階

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photo:nobutaka sato

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photo:chihaya kaminokawa

letters

「生きる」

あなたは生まれた 空からの
光の中 歩き出す 影も知り 見つめ合う
水にふれ 虹が散り 足音が響く
それぞれの世界が入り混じる
つれていかれないように まっすぐにたつ
外にむく 内にいる 透明な間で遊ぶ
風がふく 揺れる 迷う 石を見つける 決める
選ぶ 少しの間漂う まどろむ
変容する 速度を変え 取り巻くものを読む
まねる 育つ 蓄積し 進んでいく
重力と 地球 無数の時空
それを包む 全ての その中にいる
生きている 歩く 脈をうつ
動いている 静止する 残る ゆらぐ
巡り続ける その中にいる
空と地に触れ 形跡を拾う そうして
気がつく 誰かが何かに 私があなたに


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2014 9/23


「速度」

あなたと会わない間 私は速さに身を慣らし
次々と変化する風景と たくさんのことや人と出会った
あなたはゆっくりと窓の外の空の表情や
木々や山々の色のうつりかわりに 静かに立ち会っていたのだろう

どんなに強い波も柔らかく受けとめれば
きっと穏やかになってゆく
淡々と揺るぎない速度を保っていたい。

夏の終わりの虫の羽、秋の終わりの木の葉も
ちがう速度でちがう軌跡を辿る

くもり時々晴れ
雲間から射す光が、あなたの服に似ている
水が少し消えていく
姿がなくなって空気になっていく。私たちもいつか。
でも今は触れることができる。
あたたかな温度を感じられる。
ただ、そんなことでも新鮮に思うために
時折あらためて視点を変える。
木の葉の穴から、いつもを眺めてみるように。
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2014 11/8

「線」

輪郭が浮き立つ 冬の空気の中へ
外の世界へ あなたを連れていきたい
そう思い あなたの線に触れたら 私もくっきりと個になった
切り離され 関わり合い 様々な線を描いていく
柔らかな線 かたくなな線 
からまってしまったら ほどけばいい
できるのなら 私とあなたは やわらかな曲線で繋がっていたい
いつでも空気を汲みながら 伸ばしたり 縮めたりできるように

違和感を断ったカセットのテープで
影の線をなぞった 午前
思うより早く影が動く もうそこに姿はない
動きだし 気付く
区切られ 個になったからこそ 他者を知る
あなたは私のことを知っているだろうか

降り注ぐ光の中、鳥の羽のように雪が舞い降りる
掴んでも 手のひらで瞬く間に溶けてしまう結晶
あなたやだれかを掴もうとするのと同じだ
姿や形さえ確かなものはなくて
でも見えないものを信じていたいと思う

遠くても 近くても 通じ合えるように
ほつれても ちぎれても あなたとは結び続けよう
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2015 1/17


「内と外」

封筒に入っていた白いテープで
この間切ったカセットテープを繋いだ

そしてあなたとわたしが共にした時間とモノを
繋いだテープで囲った

円の中にあなたと私
水や木の葉、虫の羽、石に、音に、はさみ 関わった全てもの
円の球の星の中 出会ったものごとを取り入れて
内に集積し 外に反映し 姿となった

身体はこの透明なグラスのよう
生まれる前に選んだグラスに取り入れて 
形づくり 変化していく 常に

意識は内と外を行き来する 両側から見つめる
内側で起こる感情 外側で見える形 
あなたと過ごし知っていく

外だと思っていた場所からさらに外があることに気がつくと
”あいだ”を見つけた  透明な余白

天と地やあなたと私や内と外のあいだ
世界を豊かにしてしたのは この”あいだ”
ならばそのあいだを繋げるために踊っていよう

今は同じ形の私とあなたも
内と外とそのあいだを行き来して
なにかに出会い うつりゆく
次に再び会う時は きっと今と少し違う

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2015 2/21