おしゃべりな氷屋「イチベ」
東山佳永+EAT&ART TARO作品
Chatty ice shop"ICHIBE" 2013
あいちトリエンナーレ2013 現代美術企画コンぺ選出作品
長者町各所にて 2013 9月9日(月)~9月16日(月・祝)
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氷屋「イチベ」は氷と物語を積んでいる。
氷屋と出会った人々は記憶と共に氷を食べながら、おしゃべりをする。
作品を体験した人々は後に、物語の最後に立ち会う事になるだろう。
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街全体を使った回遊型の作品。
戦後栄えた街に、戦後を生きぬいたあるおじいさんの物語を重ねあわせ、その物語を街全体に点在させる。
鑑賞者は長者町の空気や景色、歴史を味わい、その街自体が舞台になった物語と現実の間で、
氷屋との一期一会を楽しみながらさらに物語へと誘われていく。
昔話のようなあるおじいさんの話の最後にはある場所への誘いがあり、
その場所に訪れた人は、物語の中に入り込んで登場人物になってしまう。
フィクションとノンフィクションの重なりあいを体験出来る仕掛けになっている。
東山の書いた「あるおじいさんの話」は、今とは全く違う状況の戦後の話。
それはまるで昔話のよう。戦後ならではの激動の時代を様々な職業をし、
生きぬいた人たちの話を知っていくことで自分の立っている場所、血筋、今を再認識する。
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【作品概要】
START(長者町メイン会場:アートラボあいち内)
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壁面パネルに「はじまりの物語」が書かれている。
読み終わるとその下に
「このシールを貼って長者町を巡っていると、おしゃべりな氷屋に出会えるかもしれません」
とあり、4色ある“イチベシール”を一枚選んで貼ることができる。
(アートラボあいち内の展示では、終戦の年に結婚をし、激動の時代を読み取り商いを点々とする
あるおじいさんの話が書かれている。用品店、魚屋、石炭屋…と商いを変えて行き、
「氷屋」を始めるところまでで終わっている。)
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シールを貼って街を歩き、体験していると、自転車で長者町を走る東山とTAROに出会い物語の続きを聞くことができる。2人はおかもちの箱の中に氷と物語を積んでいるおしゃべりな氷屋。
シールを貼り東山らに声をかけられた鑑賞者は近くのベンチに誘われ、小さな飴玉のような氷をもらう。シールと同じ4色の氷玉。氷を食べ溶かしながら、鑑賞者自身も昔の記憶を溶かすようにおしゃべりが始まる。
(街の中でおしゃべりな氷屋に会えると、おじいさんの氷屋の話の続き(燃料屋、お好み焼き屋、喫茶、魚料理屋、食堂まで)を聞くことができる。そして物語が今に辿り着き一段落すると、今度は鑑賞者自身の祖父母の仕事の話を聞く。長者町を背景に、戦後の時代に思いを巡らせ、おしゃべりをする。)
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最後に、昔話のようなあるおじいさんの物語には続きがあることを告げる。
そしてある場所への誘いをすると、おしゃべりな氷屋はまた街に消えていく。
(”ある場所”に行くか行かないかは鑑賞者に委ねられている。)
その場所に訪れた人は、いまだ続く「あるおじいさんの物語」の中に入り、
主人公のおじいさんに出会い、自らも登場人物となる。
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(最後の誘われる“ある場所”、食堂「イチベ」
長者町から徒歩10分程の場所にあり、
物語の主人公である90歳のおじいさんがおり、
またおしゃべりがはじまる。
*食堂は2014 3月末に閉店)
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会期の最終日には敬老の日のお祝いも兼ね、長者町に主人公であるおじいさんを呼び、
お話にでてきた商売時代の写真見たりしながら昔話を聞く会を開いた。
物語を長者町へと引き寄せ、実際に街と重なりあい終わりを迎えた。
『あるおじいさんの物語の続き』として、
土日祝休みの食堂に行けないお客さんの為に、
最終日の敬老の日に長者町で空間を設えた。
TAROが再現したお好み焼き屋時代のおばあちゃんのお好み焼きや、東山の再現したおばあちゃんのパウンドケーキ、昔の写真を味わいながら和やかな時間を過ごした。
(会場:トランジットビル2階)
おしゃべりな氷屋「イチベ」2013
あるおじいちゃんの物語 written by Kae Touyama
写真提供 Network2010 他